パリなのにプチヴィラージュ気分「ビュット・オ・カイユ」

華やかでおしゃれなショップや、シックなアパルトマンが建ち並ぶパリ。 でも中心地を少し離れると、ゆったりとした時間が流れる、ちょっとフランスの田舎のようなカルティエがあります。

今回ご紹介の「ビュット・オ・カイユ」はそんなカルティエの1つ。“パリの中の小さな村” なんて言われているんです。

パリには珍しい一軒家が多いのも魅力。しかも、そんな雰囲気の中でストリートアートも楽しめるんです。

一歩足を踏み入れると、その平和で不思議な雰囲気に時間が経つのを忘れてしまいますよ。 それではパリの中のプチヴィラージュを早速ご案内いたしましょう!

パリ13区「ビュット・オ・カイユ」とはどんなところ?

ビュット・オ・カイユ(La Butte-aux-Cailles)は直訳するとウズラ(Cailles)の丘

ビュット・オ・カイユ(La Butte-aux-Cailles)は直訳するとウズラ(Cailles)の丘( Butte) となります。

16世紀にこのカルティエの地主だったピエール・カイユ(Pierre Caille)さんのファミリーネームが由来。

地主だったピエール・カイユ(Pierre Caille)さんのファミリーネームが由来

その頃はモンマルトルのように風車があり、ビエーヴルという川が流れていて、その水を利用した工場地帯で労働者の町でした。1783年には気球の飛行がはじめてこの地で成功しています。

1871年には労働者の革命自治体であるパリ・コミューンが、ここで政府軍と戦い鎮圧されましたが、後の世界の社会主義運動に大きな影響を与えています。そして郊外だったビュット・オ・カイユは1880年にパリ市と併合。

それまでは壁を隔てて、向こうがパリ市内、 そしてこちらが郊外だったそう。

パリ再開発から逃れ、趣のある街並みや石畳がフォトジェニック!

郊外だったビュット・オ・カイユは1880年にパリ市と併合
その後は、地下採石場による建物の高さ制限があったためパリの再開発に取り残され、労働者の町だった庶民的な雰囲気がそのまま残りました。

高低差 63mのビュット=丘。だから緩やかな坂が多いんです。そしてパリ左岸でも石畳が 多く残っているのも特徴。

パッサージュ・ボワトン(Passage Boiton)

この「パッサージュ・ボワトン(Passage Boiton)」もそんな石畳の坂の1つ。可愛らしい 一軒家が並び、ストリートアートも描かれていてなかなかフォトジェニックな場所です。

ストリートアートが始まるきっかけは女性アーティスト「ミス・ティック」

ストリートアートのきっかけはパリ生まれのアーティストで詩人のミス・ティック(Miss Tic)

パリ生まれのアーティストで詩人のミス・ティック(Miss Tic)が 、1985年頃からモンマルトルやマレ地区、そしてここビュット・オ・カイユで作品を描くようになり、ストリートアートが広がっていきました。 彼女の作品の特徴は切り抜き絵と、添えられたちょっとユーモアが効いた一文。

たとえばこの作品には「Je cherche la vérité et un appartement」=真実を探している、アパルトマンも探している、と書いてあります。 これはフランスを代表する言葉遊びのアーティスト「ベン・ヴォーティエ」がよく使う言葉 「Je cherche la vérité 」に彼女が、アパルトマンも探している、と付け加えたもの。

遊び心が感じられますね。

ハネムーンでファッショナブルなフォトツアーにぴったり!

様々なアーティストの作品を見つける楽しみも

他にも様々なアーティストの作品がカルティエのあちこちに描かれていて、見つけるのも楽しいんです。

「ボビヨ通り」を歩いて来ると、ちょこちょこアートが表れてくる

最寄駅の1つである「プラス・ディタリー」の1番出口を出てすぐ横、「ボビヨ通り」を歩いて来ると、ちょこちょこアートが表れてきてビュット・オ・カイユに到着したなってわかるんです。

ハネムーンで訪れるなら可愛らしいお店「ロワシヴ・テ」を目印に

ティールームも併設した可愛らしい「ロワシヴ・テ(L’Oisive Thé)」

小さいようであれこれ歩くと結構広く感じるこのカルティエ。目印に編み物店でティールームも併設した可愛らしい「ロワシヴ・テ(L’Oisive Thé)」を見つけておくと位置がわかりやすいと思います。

「L’Oisive Thé」は「ロワジヴテ(oisiveté)」=無益に暮らす、のらりくらりと暮らす、という意味の単語を遊んだ言葉。この平和なビュット・オ・カイユでこれまたかなりしゃれてるんです。

で、このお店の前にある小さな公園の向こうに、無料の地下水が出る公共の水汲み場があるというので立ち寄ってみました。
無料の地下水が出る公共の水汲み場
住民の方々が次々とやってきて、ペットボトルに水を汲んでいきます。 ということでわたくしもカップを持参してお試しです。

さてさてお味は? うん、普通です!
地下水のお味はふつー
この水汲み場のすぐそばにあるのが、 600メートルの深さの井戸を利用した市民プールです。フランス語の正式名称は「Etablissement balnéaire de la Butte-aux-Cailles」。

1924年に建てられたアールヌーヴォーの美しい建物

1924年に建てられたアールヌーヴォーの美しい建物は、このビュット・カイユでもひと際目立つ存在といえます。

ハネムーンの甘いお土産にいかが?はちみつ専門店「レザベイユ」

ハチミツ専門店「レザベイユ(Les Abeilles)」

それではこのビュット・オ・カイユで立ち寄りたいお店とグルメもご紹介いたしましょう。

「レザベイユ(Les Abeilles)」は 1993年にジャン=ジャック・シャクマンデスさんが開いた、パリでも有名なはちみつ専門店。 フランス国内だけでなく世界中のはちみつが揃っています

日本でも取り扱われているのでご存知の方もいらっしゃるかもしれません。ハネムーンのお土産にも喜ばれそうです。

ビュット・オ・カイユを代表する老舗ビストロ「ル・タン・デ・スリーズ」

老舗ビストロ「ル・タン・デ・スリーズ」

この界隈の代表的なビストロと言えばここ「ル・タン・デ・スリーズ(Le Temps des cerises)」

労働者生産共同組合(S.C.O.P)のお店です。

労働者生産共同組合(S.C.O.P)のお店

“さくらんぼの実る頃”という店名は古くからあるシャンソンで、パリ・コミューンに捧げる歌に使われたことからこの店名がつきました。さすが S.C.O.P 店。

メニューはステーク&フリット(牛ステーキとフライドポテト)やマグレ・ド・カナル(鴨のロースト)、ブーダン・ノワール(豚の血を使った腸詰)などフランスのビストロの大王道がズラリ揃っております。

昔ながらのノスタルジックな雰囲気が魅力!バスク料理のビストロ「シェ・グラディーヌ」

「サンク・ディアマン通り(rue des Cinq Diamants)」

古い街並みとモダンなストリートアートの融合が特に目を引く「サンク・ディアマン通り(rue des Cinq Diamants)」には、バスク料理の庶民的なビストロ「シェ・グラディーヌ(Chez Gladines)」があります。

バスク料理の庶民的なビストロ「シェ・グラディーヌ(Chez Gladines)」

ここはかなりお手頃なお値段でボリューミー。私も豚のソーセージと羊肉、白いんげん豆を煮込んだカスレを食べたことがあるのですが、とてもじゃないけど食べきれない量だったんですよね。

なのでもしお2人で食事なさる場合は、メイン1品とサラダ1品がよいかもしれません。ここは各種サラダも大盛りで名物なんですよ。

ハネムーンで毎日フレンチは重すぎると感じたら「ラヴァン・グー」

あっさりめのフレンチだったらここ「ラヴァン・グー(L’avant- goût)」

王道ビストロ料理とは逆の、あっさりめを希望しているならここ「ラヴァン・グー(L’avant- goût)」。 店内はシックでイメージするおしゃれなパリのビストロの雰囲気そのもの。

以前ここで夏のポトフをいただいたことがありますが、あっさりでとても優しいお味でした。 平日ランチは26ユーロからとお値段もお手頃です。

ビュット・オ・カイユから徒歩圏!中華街でフォーを食べるのもあり

「ル・コック(Le Kok)」

いくつかのビストロをご紹介させていただきましたが、実は私のおすすめは、ビュット・ オ・カイユから歩いて5分くらいの13区中華街でいただフォーなんです。この界隈はたくさんのお店でフォーがいただけるのですが、上の写真に写っているのがこの日、火曜日は定休日だった「ル・コック(Le Kok)」

化学調味料を使っていないと以前聞いたことがあるのですが、とにかく優しいお味です。ただしかなり薄味なので、ご自分で卓上調味料で塩加減を調節してもよいかと思います。

またここはお願いすると、スープのだしに使ったお肉の塊をおつまみ?としてサービスで出してくださいます。かなりの量なので食べる自信 のある方はお店の方に伝えてくださいね。

ガイドブックに載る有名店が必ずおいしいとは限りません

「ソン・ フォン(Song Huong)」と「フォー・キャトーズ(Pho14)」

そして、その「ル・コック」から2店舗はさんで向こうに並んでいるのが、写真向かって右から「ソン・ フォン(Song Huong)」と、世界中のパリのガイドブックに出ているだろうフォーの超有名店「フォー・キャトーズ(Pho14)」です。 いつでもフォー・キャトーズは観光客でかなりの混み具合です。

が、私の感想ですが美味し くありません。それもかなり・・・。あまりにも有名になり過ぎて味が落ちたのかな、と。これは勝手な予想なのですが思っています。

なのでおすすめは「ソン・フォン」か「ル・コック」。ということで、ご紹介するにあたって味が落ちていないか確かめたいこともあって、「ソン・フォン」でフォー(9.20ユーロ)をいただいてきました。

「ソン・フォン」で出しているフォー

大丈夫。美味しいです。でも値上がりしていました。それが残念だけど、ま、外食の高いパリで10ユーロしないでいただけますのでよしとしましょう。

他にも甘酸っぱいタレでいただく麺料理ボブンもあります。お好みでチョイスなさってください。

ビュット・オ・カイユから中華街に行く分かりやすい道順は、先にご紹介させていただいた市民プールの左脇の道「ムーラン・デ・プレ通り(Rue du Moulin des Prés)」を下ります。

大きな通り「トルビアック通り(Rue de Tolbiac)」にぶつかったら左にまっすぐ行くと左角に「フォー・キャトーズ」があります。フォー・キャトーズはおすすめしておりませんけどね・・・。

パリの丘というとモンマルトルが有名ですが、ビュット・オ・カイユも素敵なスポットです。ぜひハネムーンで訪れて、フォトジェニックな写真をたくさん撮影して帰ってくださいね。

<Information>
■はちみつ専門店「レザベイユ Les Abeilles
住所:21 rue de la Butte aux Cailles
TEL:01 45 81 4 48

■労働者生産共同組合のビストロ「ル・タン・デ・スリーズ Le Temps des cerises
住所:18-20 Rue de la Butte aux Cailles 13 区
TEL:01 45 89 69 48

■バスク料理のビストロ 「シェ・グラディーヌ Chez Gladines
住所:30 rue des cinq Diamants 13 区
TEL:01 45 80 70 10

■あっさりめのフレンチビストロ 「ラヴァン・グー(L’avant- goût)
住所:26 rue Bobillot 13 区
TEL:01 53 80 24 00

■おすすめ!「ル・コック(Le Kok)」
住所:129 avenue de choisy 13 区
TEL:01 45 84 10 48

■「ソン・ フォン(Song Huong)」
住所:129 avenue de choisy 13 区
TEL:01 45 85 01 76



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