入賞作品

若かった頃の大胆な思い出! おおらかな南の島ならではのエピソードですね。 またぜひ結婚記念日におふたりでおでかけください。でも、もうワンピースは無 理!?

「正式なワンピースで泳ぐ」

箕輪 かおるさん(51才、川崎市在住)

新婚旅行は、夫の長年の夢の国、タヒチに。当時は、日本からの直行便もなく、フィジー乗り継ぎで、ようやく到着。

タヒチ・モーレア島
(写真はイメージです)

真っ先に向かったのは、水着ショップ。思い切りエンジョイするなら、やはり水着にもこだわらないとね。

店内はさすがにトロピカル!色とりどりの水着が、それはそれは綺麗にディスプレイしてありました。その中で真っ先に私の目を引いたのが、鮮やかなエメラルドグリーンに白い花が描かれた水着でした。派手だけど清楚。ハネムーンにはもうこれしかないという感じでしょうか。

しかし、当時私はやせていて、ビキニのサイズが全然合わずがっかり。

「同じ柄で、ワンピースがあればなあ。」とぽつりと言った一言に店員さんが「おお、ワンピース?ありまっせ!」みたいな感じで、ビニールの袋に入った、同じ柄の品物を出してきました。私は喜びのあまり中身を確認もせず、即購入。そして、そのまま夫とビーチに直行しました。

浜辺の更衣室でいざ着替えようとして、愕然!袋に入っていたのは、ビキニの下の、いわゆるパンツだけ……。そうです。ワンピースって、正しくは「一枚」の意味。見渡してみれば、トップレスの海水浴客もちらほら。日本ではありえないけど、普通に下だけお店に売ってるんですね。

途方に暮れる私に、夫がニヤニヤしながら、「まあ、せっかくだから、そのまま泳げばいいじゃん。知り合いもいないし。」

そんなわけで、私はハネムーンで、人生最初で最後の?正式なワンピースで泳ぐという快挙を成し遂げたのでした。

恥ずかしかったけど、良い思い出です。

その他の応募作品

恰好つけずにありのままのふたりを見せられること。
夫婦とはそういうものだということが伝わってくるエピソードです。

身も心も裸になれた新婚旅行

岡西通雄さん(68才、東京都在住)

昭和50年頃のハネムーンはハワイ、欧米への海外旅行がかなり増えていたが当時の私達は残念乍らお金が無く、北海道一周の旅にした。ただ私は関西育ちで地震大嫌い、女房は飛行機が大キライ。

羽田離陸まもなくエアポケットに入り大きく上下にゆれ、となり席の女房は思わず「キャー」と大声で私の腕にすがり顔を埋めに来た。周囲の人達は一勢にこちらを見て、私は恥ずかしいやら、うれしいやら顔が赤くなった。エアポケットのお陰で新婚の旅がやわらぎ女房がかわいく優(いとお)しく思えた。

札幌―旭川―阿寒の夜、二人風呂から上がり浴衣でくつろいでいた時、突然グラグラと震度3~4位の地震がおそって来た。地震大嫌いな私は情けないけど思わず女房にすがり(?)ガタガタとふるえた。「大丈夫よ!」とだらしなく慰められた。

あれから40年近くたった今でも時々、新婚旅行の話しになる毎、「内心、半分は興ざめしたけど貴男の弱さ、本当の裸の身も心も見せられ、私も正直、本当に身も心も裸になれた」と笑い話しのような本当の話しを皆で笑って思い出す「ハネムーン」でした。

新婚旅行は手近な有馬温泉

森高こなよさん(66才、神戸市在住)

私の若いころは、新婚旅行は関西汽船の一等室で九州一周が夢でした。現実はお金が無く、無理な夢です。自分たちが出来ることとは、結婚指輪を交換するだけの、ささやかな結婚式と、有馬温泉までタクシーに乗るのが、せいぜいのぜいたくであったのです。

私たちは、「電車で行こう」と思っていましたが、母がタクシーを呼んでくれました。有馬温泉駅前で降りて、ホテルを探し、やっと探し当てた予約した旅館を見たときは、「もう少しお金を出したら、ましな旅館に行けたのに」と話して、後ろの豪華なホテルを見ながら玄関に入りました。小柄なおばさんが出て来て「いらっしゃいませ」と言い、「予約していた森高です」と言えば、「お待ちしていました」と、部屋へ案内してくれます。部屋係の人が来て、いろいろな説明をしてくれます。あまりにも新婚旅行には期待外れの部屋で、私が「帰ろうか」と話すと、「寝るだけやからいい」と主人になる人が言います。

二人とも前日までの仕事で疲れていたので、予約の2泊3日は寝てばかりでした。部屋の隅や荷物にホコリが溜まるのを見て、二人が「安いだけある」と声を出して笑いました。温泉街の散歩に出掛けて帰ると、ホコリがまだあるので、「掃除をしてもらおうか」と話しをすると、「明日の朝帰るからいい」と主人は言います。帰り際におばさんが「お客さんが部屋から出ないので掃除が出来なかった」と怒っていました。主人が「すみません」とチップを渡しているのを見て、「お人よし、最初からホコリはあったと、ひと言文句を言えばよいのになあ」と思うことです。

数年経ったとき、姪が新婚旅行から帰ってきて、「おばちゃん、楽しくて、何もかも良かった」と話をしていたのを聞いて、主人が「私たちは、眠ってばかりいて、部屋にホコリが溜まって汚かった」と話します。姪がびっくりしています。私は「私たちは『ホコリ高きみょうと』だ」と自嘲することでした。



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